痛ましい事件がありました(判決を受けて)

昨年6月17日に、前橋市内で母親が幼いお子さん2人を手に掛けてしまったという無理心中の事件について投稿しました。

この事件について、本年3月25日、前橋地方裁判所で判決が宣告されました。判決結果は懲役10年(検察の求刑は懲役15年)でした。

昨年6月の投稿では、ぐんま・つなごうネットが母親の社会復帰後の環境調整についてお手伝いすることになるかもしれないと申し上げましたが、結論から申し上げると、一定の関与はさせてもらいましたが、実際の環境調整のお手伝いをするまでには至りませんでした。

そうなった理由については、詳細は差し控えたいと思いますが、1つ申し上げられることは、ぐんま・つなごうネットは、事件を起こしてしまった障害者や高齢者の社会復帰後の生活を支援するための活動をしているのであって、裁判で刑を軽くするための活動をしているわけではないことが挙げられます。

本ケースでは、母親の障害の内容や程度、事件の内容、社会復帰のために活用できる社会資源の内容などに照らして、現時点で社会復帰後の生活支援に役立つような現実味のある環境調整を行うことは無理であろうと思われました。刑を軽くするための訴訟戦略として現実味のない環境調整の体裁を作ることに協力すると、長い目で見た時に、ぐんま・つなごうネットの活動に対する行政、医療機関、福祉施設などからの信頼を失い、障害者や高齢者の再犯防止活動に貢献しにくくなることが容易に想像できるため、そのような活動からは距離を置いている次第です。もちろん、現実味のある環境調整を行い、それが結果的に刑の軽減につながることがあれば、それは結構なことだと思います。

なお、ぐんま・つなごうネットは、本ケースの母親の支援を完全に断ったわけではありません。刑務所から出所するときには、保護観察所や地域生活定着支援センターが社会復帰のための支援(これを「出口支援」と呼びます。)に取り組む可能性があります。今から約10年後になれば、ぐんま・つなごうネットも相応のノウハウを培っているはずですし、支援のネットワークも今より充実していることが予想されますので、ぐんま・つなごうネットが出口支援に関わる機会があればお手伝いすることもあり得るだろうと思っています。

弁護士 関 夕三郎

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